ワイン市場の新しい可能性―
スパークリング、オーガニック、
国産、ノンアル

日本のワイン業界は近年大きな変化を迎えています。
かつてのワイン市場といえば、チリワインが国別輸入量首位を独走していました。ラベルに描かれたかわいらしい動物たちに代表されるチリワインは、アルパカ(VSPT)が輸入ワイン市場の記録を塗り替え、プードゥー(コンチャ・イ・トロ)とプダ(イオン)が高い売上を競い合い、カッシェロ デル ディアブロ はプレミアム・チリワインとしての地位を確立し、着実に売り上げを伸ばしてきました。しかし、2019年2月に締結された日欧EPAがこの流れを変えました。チリ産ワインの輸入が10%減少すると共にEUからのワインの輸入が8%アップ。ほんの数週間の間にそれまでチリ産ワインが占めていた棚にスペイン、フランス、イタリア、ドイツ産ワインが並ぶようになったのです。

しかしながら、この流れは輸入国の内訳を入れ替えたにすぎず、ワイン市場の全体の売り上げに貢献していません。残念なことにEUから新しく入ってきた多くのワインは差別化に乏しく、ブランド力、マーケティング力の点でも新しい消費者を獲得するには至っていません。

その一方で、注目すべき4つのカテゴリーがあります。1点目はスパークリングワインで、2019年の輸入は過去最高になり、なかでもスペインのカヴァが大きく伸びています。2点目は消費者の関心の高まりによって近年トップカテゴリーに入ってきたオーガニックワイン。そして3点目は2019年と2020年に急成長している日本産ワインです。特に多くの新商品が生まれている北海道産のワインは期待されています。最後に忘れてはならないのがノンアルコールワインで、今後の動向が注目されています。

特筆すべきは、ヨーロッパ産ワインとは異なり、これらの4つのカテゴリーは消費者にとって魅力があり、今後、市場全体に新たな価値を生み出す可能性が高いことです。