日本におけるSAKEルネッサンス

日本酒業界は長い間、コモディティ化、業界内の激しい競争、そして消費者の関心の低下に悩まされてきました。過去40年間に日本酒の消費量は70%も減少しています。現在、日本酒市場の75%は、「ワンカップ日本酒」「紙パック日本酒」といった低価格帯の普通酒が占め、消費者の中心は60代~70代の男性です。
灘(神戸)と伏見(京都)の上位10社の酒造メーカーが、製品の差別化を図ることなく競争を続けた結果、日本酒業界の営業利益は日本の酒類業界で最も低いものになっています。

しかし、近年、日本酒の世界に新たな光が見え始めています。

「獺祭」、「十四代」、「新政」のようなスターブランドに加え、近年新たな若い世代による日本酒が市場を大きく変えつつあります。彼らはしばしば蔵元と杜氏を兼任しています(かつて、業界のヒエラルキーの中で、この二つの職種は厳密に区別されていました)。次世代を引き継いだ若者たちが、数百年に渡る歴史を持つ酒蔵がこのままでは存続できないと判断し、新たな改革を起こすケースが多くみられます。先代の杜氏たちとは違い、新しい世代の杜氏たちはより柔軟で幅広い可能性を求めた酒造りを行い、新しいデザインを採用するなど、国内のみならず海外へもその販路を着実に広げて始めています。

このような新しい世代の造る日本酒は、多くが殺菌処理をされておらず(生酒)、無濾過、無希釈といった製法によってつくられ、その味は活力と勢いがあり、フレッシュです。
これらの新しい日本酒市場は熱心なファンによって支えられ、若い世代・女性など、これまで日本酒に馴染みの薄かった層にも広く受け入れられるようになってきました。また、エネルギッシュな起業家たちも新しいマーケットを後押ししています。

一方、世界の動向へも目を向けると、世界のsakeの評価は近年上昇する一方です。「獺祭」の国際的ヒットは、インポーターとソムリエたち、日本酒を広めたエデュケーターたちの素晴らしい努力、日本の投資によって、国際市場での高級日本酒の地位を確実なものにしました。アメリカ(特にカリフォルニア)、香港、中国、韓国、台湾などが日本酒輸出の80%を占めていますが、ヨーロッパも堅実な伸びを示しています。特に高級な日本酒が輸出を牽引しています。

以上のような国内外における様々な変化が日本酒業界を着実に再編成し始めており、灘や伏見の大手酒造メーカーは、国内市場の活性化そして海外市場拡大へと、さらなるリーダーシップを発揮することを求められていると言えるでしょう。
大手メーカーは380年にも渡る長年の酒造のノウハウ、地域に根差した営業手法、最先端の醸造設備などの強力な資産をより効果的に活用できるはずです。

私たちアンフィルターは日本酒業界の新しい未来の一端に貢献できることを大変嬉しく思っています。